第5回課題公演/劇団あおきりみかん「つぐない」@G/pit(2017.7.7-7.17)
by S.T.
6人でテーブルを囲み、ホワイトボードに相関図を書きだすところから始まった。登場 人物の関係性を整理していくと、同時に物語の構図もみえてきた。主軸となるのは、罪悪 感のない女と罪悪感をなくしたい男の対比、また罪悪感がないと思い込んでいる女と実は 罪悪感があること気が付いてしまった女の対比である。物語の前半は、主人公の女が罪悪 感を感じないという大前提のもとで話が進む。後半では、前提がひっくり返り、それによ りすべての出来事が反転していく。まるでミステリー小説のような物語である。物語は会 話で進んでいき、その大部分がカトリック教会の内部で行われる。
語り合う中で、「他者との関わりの中に救いがある」ということがこの作品の中心にある のではないかという気づきがあった。死者を相手とするやり取りや、閉じられたコミュニ ケーションの中での「償い」は自己犠牲と紙一重であり、誰も望んでいない悲劇が生まれ る。女と妹の関係や、男と妹の関係がそれである。物語の中で、男と女は他者との関わり の中で救われる結末を迎える。
今回の語る会は、年齢、性別、人生経験、育った環境等による疑問や気づきの差異が少 なく、全員で内容を深めていく会となった。
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