第4回課題公演/壱劇屋 「新しい生活の提案」 2017.6.3-4 @千種文化小劇場
by かっぱっ
【前段】
関西小劇場で一番注目されている劇団といって過言ではないのが、劇団壱劇屋。ミソゲキ2015で名古屋にお目見え、前回は愛知初本公演で平日木曜のみというのに、ちくさ座が昼夜ともに満席ということで、愛知での注目の高い劇団である。
【全体】
ある年齢層の人にはちょっと懐かしい「どうする?どうするの?俺 続きはWebで」のフレーズが流行った某カード会社CMをインスパイアというかそのまんまパクッたネタだけど、今回も、一番の武器といえるマイムを中心としたパフォーマンスと、作風の「世にも奇妙なエンターテーメント」を掛け合わせて独自の世界を作り上げられていた。
【ストーリー】
日常を変えたいと思う主人公が、選択を重ねていくにつれて、変わっていく世の中は楽しいものからサスペンス、ホラーの要素が強まっていき、行き着く先は、夢の世界のつもりが悪夢の世界。そして、最後の選択肢は。。。。今の生活がつまらないと思ったとき、変える方がいいのか変えない方がいいのか、安易に目先だけみてると結末に何が待ち構えているかはわからない、日々の生活、日々の選択肢、本当にそれでいいのかを最後の選択肢が投げ掛けているようだった。
【演出】
全体を通してのマイム、パフォーマンスは語るのは難しいが、稽古をしっかりこなして つくりあげられているのを感じる。また、今回 パフォーマンスに使われる小道具のカードは、主人公の選択肢が書かれて要所要所ででてきて、主人公のまわりを行き交うさまは物語を象徴していた。また、カードを使った見せるタイトルは上手さが光った。笑いの要素も、たくさん、ちりばめられており、「通貨が醤油」になるって発想、そこから、居酒屋の支払で醤油をみんなで注ぐ姿や、「醤油貸してください。」「ヤマサのATM」「キッコーマンのATM」なんて台詞への展開を思い付く、作演の頭の中身を覗いてみたくなる。
【舞台/劇場】
見下ろすことができる客席はよかったが、三面舞台にはちょっと不向きな演目だったのは否めない。ただ、大阪公演千秋楽からわずか3日で三面舞台仕様に演出を直してくるところはさすがの劇団力のなせる業を感じる。
【音響・照明】
音響、照明にも定評がある劇団だが、文字通り体を震わせるライブのような重低音と高い天井からの閃光は、劇場、建てこみをあまり使わない舞台と相性がとてもよかった。
【衣装】
赤いシャツ黒のボトムスでの統一感がとてもかっこよかった。一方で、弟が途中から着始める全身タイツなど、世界の違和感も表現されていたと思うけど、唐突感あったんじゃないかなぁと思う。この劇団を知る人にはユニフォームとしてなじみなので、劇団自身のノリと、ファンサービスの一環とも捉えた。
【まとめ】
全国でも、こと名古屋では、ここまでのパフォーマンスとお芝居を融合させた公演は小劇場ではみられない。しっかりとした戦略をもって活動してると感じられる壱劇屋の今後の期待度は高い。
【追記】
宗教家という登場人物に違和感をもっていたが、批評塾での参加者の話を聞いていて、社会に縛られてるのは実は幸せなんだ的な発言はポイントだったんじゃないかと気づきがあった。救いって本当はなんだろうなぁ。
Comments